雪之丞変化


思っていたよりも普通に面白かった。PCいじりながら見るかな、という当初のモチベーションを良い意味で捨てさせてくれた。やはり中島脚本のせいだろうかしら。「牡丹と薔薇」の、あの下世話なドラマチックの片鱗がここにも、という感じ。いきなりイヤラシク迫るお初@高岡早紀だとか、エロじじい全開のまま果てていった長崎屋とか。よくこれだけ適役を集めましたね。だってみんな、出てくるだけで悪人か善人か判るんだよー。
それにしても滝の闇太郎は、幼い頃祖母と見た時代劇を髣髴させる。給食の時間に「早く食べた人はみんなの前で歌ってよろしい」と言われ、嫌いな給食をかき込んでみんなの前で「すきま風」を歌うほどの「金さんマニア」だった私にはたまらんです。雪之丞の演技が大変だった分、この闇太郎に若干の粗さを感じたのは否めないけど。どっちも完璧に出来ちゃったら、それこそもう時代劇から離してもらえないだろうからこのくらいでいいや。

映像のコダワリはさすがに黛監督。「義経」以来、滝を美しく撮ることに関しては一目置いてます。今回はやりすぎの感もなく。最後の鏡が割れてキラキラが降るという画はとても良かった。そこまでに出てきた「突然愛娘の贈り物」「なっ、なにぃ!?@ギョロ目の彬」「襖をばっしばし開けて奥ヘ奥ヘ」という、これまた中島チックな演出とのギャップが更に美しさを引き立ててGOODだった。