あしたの、喜多善男#2〜4


録り貯めていた「喜多善男」を3話立て続けに見る。

少なくとも「あと11日」と決めるその日までの人生は、喜多善男のものでしかなかったものが、様々な個性的な人物と関わることによって、彼の人生は彼だけのものではなくなっていく。 しのぶという、半分コールガールみたいに成り下がった元アイドルの人生が善男に絡み、元妻の抱える闇が絡み、平太の抱える崖っ淵の危険が絡む。

喜多善男が抱く「あと11日後の死」に対する恐怖は、他人の人生を(無意識のうちに)抱え込んでいくことによって、少なくとも軽減されていくようだ。 抱え込んだその荷物は、もう、抱え込んだ時点で、自分の担うべき重みとなるはずなのに。
抱えることによって、自分の今まで抱えていたものの重みが軽減されるとはシニカルだ。

抱えてしまったものを「煩わしい」と引き剥がしてしまうことは容易い。けれども引き剥がした痕は、思いのほか痛むだろう。
善男はもしかするとそのことを本能的に知っているのだろうか。