馬場俊英LIVE TOUR 2008〜サクラサク〜@フェスティバルホール


ペンラ振らないライブにも行くよ。

彼の声は、まるくて優しかった。だから、心の中に無理矢理ねじ込まれることがなく、どこか懐かしいメロディと、記憶の中の風景を切り取ったような歌詞と共に、優しく届く。頑張ることを歌ったメッセージが多いのかと思っていたが、それは紅白出場に際して付与されたイメージに過ぎなかった。頑張ることを強要しない。けれど、寄り添ってくれる。きっとそれは、この人が、「ある瞬間に強烈に実感する孤独」を知っているからだろう、と、MCや歌詞からそう思った。

おとなになるときに置いてきたのか、はたまた、まだその場所から進めない自分の一部が残っているのか。確かにあった「あの日」が、セピア色の写真のように切り取られて、歌に乗せて届けられる。「そうだ、私にもそんな日があったんだ」と思う。馬場のまるい歌声を聴いていると、なぜだか隣のムスメの手が握りたくなる。優しさは、伝染するんだ。

隣のムスメの目に映るこの光景は、いつか彼女が大人になった時に、記憶の一片として蘇るのかな。そんなことを考えた。優しくまるく、強引ではないけれど寄り添っている、そんな歌声を聴きながら、この、隣にいる愛おしい彼女のそばに、そんな風に寄り添って居たいなと思った。

「愛することしかできない 大人たちよ」
いまは この娘へ愛を 注ごう。