あしたの、喜多善男#1

僕の生きる道」を思わせるような導入。「僕生き」の時もそうだったけど、ぐっと胸が詰まってくるようなトーンで画面が迫ってくる。第1話なので登場人物が細切れで出てきて、線で結ぶのに少し時間がかかった。
小西真奈美は、綺麗な黒目をしているけれど目の底のどこかがクールで冷たいな、と思っていたのでこの役は適役かも。それにしても平太さん(松田龍平)は迫力あるなー。テレビサイズでははみ出そうな迫力。この人が「オヤジが昔」と言うたびに松田優作の顔がちらついちゃう。仕方ないね。平太さんの親切心が興味本位なのかどうかがまだ1話ではわかりません。次回予告で保険金のこと持ちかけてたけど。小日向さんはやはり巧い。今まで気付いていたけれど見ない振りしてきた部分、つまり「ちょっとスケベそうなオジサン」の部分がいい具合に全面に出ている。だからちょっと怖い。なんなんだこのオッサンきもい、みたいな怖さがある。
物語終盤、善男が善男のイメージにさんざん責められるところでがーっと涙が出た。責められることにではなくて、彼が思い出す人生の多くが苦しみだということに。最良の日であろう結婚式の写真ばかり持ち出すのが却って苦しい。というのも自分が最近、自分の人生にちょっとした疑問を持ち、その疑問からの綻びが日に日に繕い難くなっていることを実感しているからこんなに苦しいんだろうな、と思って見るのが辛くなった。

ヲタ事にバカ騒ぎしているのは、綻びの上から接着剤をどばどばと流したいからだ。